藤沢湘南台病院 病院長 熊切 寛 様(写真中央右)、法人事務局 次長 露木 隆 様(写真左端)、医事課 課長 佐藤 千春 様(写真左から2番目)、総務課 上山 健 様(写真右端)、事務部(コロナワクチン担当者) 、山口 紗枝 様(写真中央左)、山本 真弓 様(写真右から2番目) |
User Profile |
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一般財団法人同友会 藤沢湘南台病院 |
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所在地 | 神奈川県藤沢市 |
設立 | 1932年 1月 |
病床数 | 330床(急性期210床、ICU8床、地域包括ケア30床、緩和ケア19床、回復期リハ33床、長期療養30床) |
診療科 | 大腸肛門病AELICセンター、内視鏡治療センター、健康スポーツセンター、緩和ケアセンター、総合診療科、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、糖尿病代謝科、緩和ケア内科、神経内科、腎臓内科、外科 (一般・肛門・呼吸器・消化器)、整形外科、眼科、泌尿器科、形成外科、皮膚科、脳神経外科、腸内細菌外来、麻酔科、救急科、リハビリテーション科、放射線科、病理診断科、集中治療部 (ICU) |
U R L | http://fj-shonandai.jp/ |
藤沢湘南台病院様は、新型コロナウイルス感染症対策としてワクチン接種予約システムをkintoneで開発しました。以前から業務にkintoneを活用していましたが、短期間での運用開始が求められ、不特定多数の人が利用する難易度の高いシステムのため、JBCCにサポート支援を依頼しました。ルールや運用が明確に決まっていない状態からアプリを作り上げるまでの道のりについて、お話を伺いました。
導入前の課題 仕様が不明確なアプリを短期間で開発しなければならない |
導入後の効果 短期間で不特定多数の人にアプリを公開 |
●多数のワクチン接種予約を受け付けるため手作業で運用できない ●予約開始まで日が迫っており、情報システムの開発では間に合わない ●ルールや運用方法が確定していない状況で開発を進めなければならない |
●約7,000件のワクチン接種予約をWeb 上で完了 ●JBCCの支援により短期間かつコストを抑えたシステムを構築 ●ワクチン接種のルールや運用方法の変更に合わせてアプリを柔軟に対応 |
―藤沢湘南台病院様はどのような特徴があるのでしょうか。
熊切:当院は1932年に鈴木病院として開設しました。縦長の地形を持つ藤沢市の北部に位置していますが、当時この周辺は医療過疎でした。地域の住民に医療を届けるべく戦中戦後に社会問題となっていた結核の隔離病棟を作るなど、地域の要望に応えてきました。
現在は急性期病棟やICUといった急性期の患者の治療をする病棟だけでなく、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟など様々なステージの疾患を持つ患者に対応しています。急性期、慢性期のケアを一つの病院でカバーしている病院は全国でも数少なく、当院の大きな特徴となっています。また自宅療養中の患者に入院していただくことで家族に休息を取ってもらうレスパイトケアにも対応しています。苦しんでいる人に手を差し伸べること、地域の医療に安心をもたらすことをミッションとしています。
―コロナ禍ではどのような状況だったのでしょうか。
熊切:2021年には緩和ケア病棟をコロナ専用病棟に転換して、コロナ患者用の病床を6床から14床に拡充しました。緩和ケア病棟を利用される患者様にご迷惑をお掛けすること、また医師や看護師の負担が増え、さらに経営にも打撃を与えることはわかっていましたが、地域住民の命を守ることを優先するという判断に至りました。
医療現場が直面している問題は、スタッフが新型コロナウイルスに感染したり濃厚接触者となったりすることで、本来の業務に就けなくなり医療の提供が出来なくなることです。一般の方々はコロナと共存していくウィズコロナの段階に移行しましたが、医療現場では、例えば医師が濃厚接触者となったとしたら、その時点でその日担当する予定だった手術ができなくなってしまうこともあります。こうした問題との戦いが続いています。
―コロナワクチンの接種においても大きな混乱があったと思います。その中でコロナワクチン接種予約システムをkintoneで開発した経緯についてお聞かせください。
上山:2021年のゴールデンウィーク前、コロナ禍においてコロナワクチンの医療従事者向け先行接種が一段落し、一般市民向け接種が検討されている時期でした。国の方針に沿って藤沢市でも5月下旬より一般市民向けコロナワクチン接種開始が決定され、実施医療機関に通知があったのも同じ頃だったと思います。ワクチン接種予約を紙の台帳で管理する病院もありますが、当院では申込数が多いと予想され、手作業では運用が回りません。情報システムを作るのが理想でしたが、まだルールや運用方法が決まっていない段階でSI企業に依頼できませんし、時間もコストもかかります。着任早々で途方にくれていたところで露木さんからkintoneを教えてもらいました。
露木:もともと当院ではkintoneを導入しており、電子カルテでは管理できない情報や近隣病院との情報共有に活用していました。今回のワクチン接種予約では、ルールや運用方法に応じてシステムを柔軟に変更しなくてはなりません。kintoneはまさにニーズに合ったソリューションだと考えました。
―貴院でも独自でアプリを作られてきた中で、今回なぜJBCCにサポートを依頼されたのでしょうか。
上山:ワクチン接種予約が開始するまで時間がなかったというのが大きな理由です。プロに依頼して迅速に仕組みを構築した後、当院でルールや運用方法に応じて細かく変更をかけていきたいと考えていました。
露木:当時は1回目と2回目の予約を同時に行う必要がありました。アプリの難易度が高く適切なプラグインを選択するのはプロに相談しないと難しいと考えていました。今回、JBCCが最適なプラグインをできるだけ費用を抑えた組み合わせで提案してくれました。
―どのプラグインを使用されたのでしょうか。
露木:ワクチン接種予約は不特定多数の人が使用します。そのためkintoneのアカウントを持たない人がアプリを使えるようにしなければなりません。そこで「kViewer (ケイビューワー)」と「Form Bridge(フォームブリッジ)」を活用して地域住民に接種日程と予約残数を公開し、申し込みできるようにしました。さらに「krewData(クルーデータ)」により、予約登録アプリの情報をもとに予約残数をリアルタイムで計算できる仕組みにしました。
地域の住民は接種日程から希望の日を選び申し込みを行うと、予約確定のメールが送付される。予約残数を管理するために2つのアプリをリアルタイムで連動させる仕組みになっている。 |
―JBCCのサポートについて良かった点をお聞かせください。
上山:5月下旬のワクチン接種開始には間に合いませんでしたが、5月7日にJBCCに依頼して、6月16日には予約受付開始にこぎつけることができました。独力でこれだけのスピード開発はできなかったと思います。
露木:JBCCから早い段階でプロトタイプが提供されたため、画面を見ながらどのような仕様が最善かを議論し、最短距離で開発を進めることができました。kintoneでの受付件数は、2回目接種の予約受付完了まで7332件にものぼりましたが、スムーズに運用することができました。
―kintoneで短期間の開発を成功させるためのポイントをお聞かせください。
上山:開発スピードを重視する場合、ある程度は運用で柔軟に対応する工夫が大切だと思います。今回、ワクチン接種の予約残数を管理する機能を作りました。複数人が同時に予約ボタンをクリックすると予想されるのですが、厳密に残数を計算すると複雑な制御になってしまいます。そこで1つの残数に複数人の予約が入ってしまった場合は、医師を増やすことで対応しました。
―kintoneを使う方へのアドバイスはありますか。
露木:当院では、電子カルテをはじめとする病院の基幹システムには乗らない情報の管理は、やはりExcel等を利用する事が多く、Excelでは管理しきれなくなったものについてはAccessで開発しています。その手法と比較すると、kintoneを使うことで圧倒的なスピードで開発できています。とはいえあれもこれもと手を広げすぎると、中途半端になってしまう可能性もあります。最初は開発対象を限定し、徐々に範囲を広げていく方がスムーズに進むと思います。
―今後のkintoneをどのように活用していきたいとお考えでしょうか。
上山:ワクチン接種予約で外部へ公開するアプリの知見も蓄積されました。インフラの整備にも課題がありますが、将来的には診療予約のオンライン化など、利便性の高いサービスを患者様に提供していきたいと考えています。
―医療分野でのICT活用について展望をお聞かせください。
熊切:最近では動画制作やSNS運営も含めてマーケティングに力を入れています。またチャットツールを導入して、スタッフの状況がリアルタイムに共有できるようになりました。今後も積極的にICTを活用していきたいと考えていますので、JBCCからの良い提案を期待しています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
JBCCは、電子カルテの提供を通じて培ったヘルスケア分野でのITスキルを元に、病院DXの実現を推進して参ります。
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