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2020年度診療報酬改定のポイントーWith コロナ禍での臨時的報酬含むー

2020.11.25

(株)ASK梓診療報酬研究所 所長

中林 梓氏



 2020年10月20日にオンラインで開催したJBCC電子カルテユーザー勉強会では、(株)ASK梓診療報酬研究所所長の中林梓氏を講師にお招きし、「2020年度診療報酬改定のポイント-With コロナ禍での臨時的報酬含む」と題して、今回の診療報酬改定のポイントと、今後の病院経営の在り方についてお話しいただきました。



 本題の前に、新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的取り扱いについて紹介します。8月19日中医協総会で公表された議論の整理(概要)によると、「新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れた医療機関等」については、看護配置や平均在院日数などの施設基準を満たさなかった場合も、今回はよしとする旨が記されています。


 この「医療機関等」には、「新型コロナウイルス感染症に感染し又は濃厚接触者となり出動ができない職員が在籍する医療機関等」も含まれます。また、緊急事態宣言において緊急事態措置を実施すべき期間とされた期間については、「全ての医療機関等」がこれに該当するので、ぜひ確認してください。


 新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の主な対応状況については、どちらの医療機関も知っておいていただきたい。新型コロナウイルス感染症患者の受け入れいかんに関わらず、電話等を用いた初診(特例措置の要件を満たした場合のみ)と、慢性疾患等を有する定期受診患者等に対する再診も保険適用となっています。院内トリアージ実施料の臨時的な取り扱いについても併せて知っておいてください。



2020年度改定の最大のポイントは
医療従事者の働き方改革を主眼としたこと


 2020年度診療報酬の改定のポイントは、「消費税財源を活用した救急病院における勤務医の働き方改革への特例的な対応 +0.08%」です。金額にすると126億円を、救急病院で大変な思いをしている先生方の働き方改革のために使おうという趣旨です。もう1つは、地域医療介護総合確保基金として公費143億円が使われることです。改定と関係なく、基金を活用して、医師の時間外労働の上限規制に対応しようというものです。


 改定に当たっての基本方針は4つあります。1つ目は、医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進です。2つ目、3つ目、4つ目は前回の改定とまったく同じで、今回の改定は働き方改革が重点課題となっていることがわかります。なぜでしょうか。


 最も大きな理由は、人口問題です。2040年を見据えたときに、75歳以上の後期高齢者は高止まりして推移していくのに対し、65歳未満の人口は激減していきます。医療、介護が必要な人は増えていくのに、それを支える働く人が減っていくわけですから、働き方改革を推し進めて、少ない人数で高齢者の医療、介護を見ていく必要があります。


 もう1つの理由は、2024年4月から、医師について時間外労働の上限規制が適用されることです。残り3年なんてあっという間ですから、できるだけ早く労働時間短縮に計画的に取り組むよう、今回の改定で厚生労働省は促しているのだと私は考えています。


 今回の改訂項目の中から、働き方改革に関連したものをいくつか紹介します。



■医師事務作業補助者の配置に係る評価の充実:

質の高い診療を提供する観点から、医師事務作業補助者の配置に対して、点数が加算されました。さらに今回の改定で、回復期リハビリテーション病棟(療養病棟)や地域包括ケア病棟(療養病棟)、精神科急性期治療病棟2(50対1から100対1に限り算定が可能となる入院料)など、対象となる病棟等が拡大されました。


■看護補助者の配置に係る評価の充実:

看護補助者が多ければ、看護師さんの働き方が楽になります。ひいてはドクターも働きやすくなるということで、看護補助加算に関するものは点数が引き上げられました。


■夜間看護体制の見直し:

夜間における看護業務の負担軽減を目的として、夜間看護体制加算に必要な項目が新たに3つ増えました。そのうちの1つが「ICT、AI、IoT等の活用による業務負担軽減」ですが、皆さまの病院等でICTを使ってカンファレンスを行い、それによって業務負担が軽減されるなら1項目取れるわけです。これについてもぜひ着目していただきたい。


■医師等の従事者の常勤配置及び専従要件に関する要件の緩和:

今回の改定で、非常勤の常勤換算の見直しが行われ、「週3日以上かつ週24時間以上」の勤務が、「週3日以上かつ週22時間以上」となりました。医師については、複数の非常勤職員を組み合わせた常勤換算でも配置可能とする項目が増えましたから、こちらも確認してください。


■かかりつけ医機能の普及の推進:

地域におけるかかりつけ医機能として、院内に掲示する事項が増えました。必要に応じて、専門医、専門医療機関を紹介できることや、検査機能を書面にして院内に掲示し、さらに患者さんの求めがあれば、その書面を交付することが、機能強化加算の必要条件となりました。広告規制のある医療機関にとっては、広報手段としてこの書面は有効ですから、ぜひ活用していただきたい。


■情報通信機器を用いた診療に係る要件の見直し:

オンライン診療については、コロナウイルスの臨時的な対応でも述べた通りですが、1つだけ補足してお伝えしたいのは、現行では電話再診料のほうがオンラインよりも点数が高くなっていますが、コロナウイルスの収束に関わらず、おそらく次の改定ではオンライン診療料のほうが高くなると思われますので、今のうちからオンライン診療導入の検討を始めたほうがよいでしょう。

遠隔連携診療料の創設:
希少疾患を持つ患者に対して、かかりつけ医が事前の情報共有の上で、遠隔地の専門医と情報通信機器を用いた診療(オンライン診療)を行う場合、遠隔連携診療料が新たに創設されました。500点を対面と医師とオンラインの医師が分け合う仕組みです。


情報通信機器を用いたカンファレンス等の推進:

回の改定で、感染防止対策加算、入退院支援加算、退院時共同指導料などの対象項目について、カンファレンスはすべてオンラインでも可能になりました。



外来患者を減少させないために
コロナ対策の周知とICTの活用を


 最後に、経営対応について私からいくつかお願いをさせていただきます。


 新型コロナウイルスの影響により、特に200床未満の病院で外来患者が減少してしまっているところが多いと思います。徐々には戻ってきているが、以前に比べるとまだまだという場合は、感染症対策として具体的な取り組み方法の周知をお願いしたい。それは患者さんだけではなくて、地域の介護事業所、他の医療機関に対してもです。


 また、電話再診・オンライン診療の導入と周知についてもお願いします。私がお願いしている病院の中には、外来に来なくなってしまった高齢者に、「〇〇さん、外来受診がないけれど、お薬はまだありますか?」と電話をかけています。高齢者はホームページを見ないから、電話をかけるしかないのです。コロナが怖くて病院に行きたくないという患者さんに対しては、電話でも今なら薬を出せることをお伝えしてください。


 外来患者を減少させないためには、ICTの活用による連携強化も重要です。おそらく来年の介護報酬改定でもICTの活用は対象が拡大される見込みですので、いろいろなところで活用しながら、自院の診療内容を知らせるなど、地域への連携強化をぜひお願いします。


 広報戦略として、新型コロナウイルスのQ&A集を作成し、情報発信することも有効です。内容は、厚生労働省のホームページから引用してもいいでしょう。自院の名前でそうした資料を作成し、相談先の電話番号や検査可能な医療機関名を記載しておくと、患者さんからの信頼度も向上します。入院医療についても、感染症対策として具体的な取り組み方法を周知していただきたい。


 急性期(200床以上)病院の経営対応として、医師・看護師・コメディカルの皆さまにお願いしたいのは、外来診療料には何が包括されているかを知っておくこと、そしてDPC/PDPS (診断群分類別包括評価支払い制度)で包括される診療報酬の理解と術前検査外来実施の徹底などです。DPC/PDPSにおける診断群分類では副傷病名が重要になりますので、これも知っていただきたい。


 回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、慢性期病棟については、データに基づいて、地域連携の現状把握と分析するとともに、連携の弱いところは強化を図っていただきたい。


 今回の改定では、連携も重要視されていますが、おそらく次の改定でも連携の重要度は増大していくでしょう。何のための連携か、それは自院や事業所のためではなく、コロナ禍でも患者さんや利用者、その家族、医療従事者の皆さまにとって暮らしやすい地域となるための連携であることを今一度、確認いただければと思います。





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