メール
メニュー

【2023年最新版】医療法人向けIT導入補助金の活用方法。電子カルテもOK!

2023.10.26

政府が推進するDXによって、デジタル化による生産性の向上が行われています。それは医療の現場も例外ではありません。しかし中には「資金が足りない」という課題によって、ITの導入が進まない医療法人も多いのではないでしょうか。
そうした医療法人に活用してほしいのが「IT導入補助金」です。IT導入補助金を利用することによって、資金面で諦めていたITの導入が叶うかもしれません。
本記事では医療法人がIT導入補助金を利用するための基礎知識と申請方法、交付されやすくなるためのコツなどをご紹介します。



IT導入補助金とは



IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者がITを導入する際に経費の一部を補助する補助金のことです。正式名称は「サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金」といい、中小企業庁監督のもとTOPPAN株式会社が事務局の役割を担っています。
※2023年度は7月31日以前の申請を前期事務局として一般社団法人 サービスデザイン推進協議会が担当し、8月1日以降の申請を後期事務局としてTOPPAN株式会社が担当しています。


医療法人の場合は、常勤の従業員が300人以下であれば利用可能。ただし利用できるソフトなどは、あらかじめ事務局に登録されたもののみのため、事前に確認が必要です。利用可能なITツールは下記ページで確認できます。

▼IT導入支援事業者・ITツール検索(コンソーシアム含む)
https://it-shien.smrj.go.jp/search/



IT導入補助金の種類



IT導入補助金には、いくつかの種類があります。基本的には「通常枠」「デジタル化基盤導入枠」「セキュリティ対策推進枠」の3つです。利用条件や補助額などが異なっていますので、医院のIT課題や導入したいと考えているツールに対応するものを選びましょう。

〇通常枠(A型・B型)

通常枠は、ソフトやそれに関するオプション、クラウド利用費などで利用可能です。基本的には顧客や在庫の管理、決済・会計システムなど、生産性を向上させるITツールが対象となっています。

通常枠にはA型とB型があり、補助率はともに1/2以内。ただし、機能要件の数によって選択すべき型が異なります。A型は、機能要件が1プロセス以上で補助額は5万円~150万円未満。B型は、機能要件が4プロセス以上で補助額は150万円~450万円以下です。

機能要件については「IT導入補助金2023 通常枠(A・B類型)」に、業種共通業務プロセスと業種特化型業務プロセスの一覧が記載されています。

▼IT導入補助金2023 通常枠(A・B類型) 公募要領
https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/r4_koubo_tsujyo.pdf

〇デジタル化基盤導入類枠

デジタル化基盤導入類枠は、会計・受発注・決済・ECなどのシステムを導入する場合に利用できます。ソフトの他、クラウドシステムの利用料、システム導入に必要なパソコンやタブレットにも利用可能です。

1機能のみの導入であれば、補助率は3/4で50万円まで。2機能以上であれば、2/3の補助率で、50万円超~350万円部分の補助となります。パソコンやタブレットを購入する場合、上限は10万円、レジや券売機を購入する場合の上限は20万円です。どちらも1/2の補助率で、同時に購入するITツールに使用するものであることが条件となっています。



購入するもの

ソフト購入・クラウド利用料・システム導入など

パソコン・タブレットの購入

レジ・券売機の購入

補助額上限

350万円

10万円

20万円

補助率

1機能のみ:3/4(上限50万円)

2機能以上:2/3(50万円超~350万円部分の補助)

1/2

条件

同時に購入するITツールに使用するものであること




また、デジタル化基盤導入類枠には「複数社連携IT導入類型」や「商流一括インボイス対応類型」もあります。
複数社連携IT導入類型は、複数の企業が連携してITツールを導入する場合に利用でき、事務局運営のための資金や専門家への謝金などにも利用可能。導入するITツールやハードウェアに利用できる金額・補助率は先述したものと同様です。それ以外の経費については、50万円×グループ構成員数で請求ができ、ITツールなどの購入費と合わせた上限は3,000万円です。

一方、商流一括インボイス対応類型は、インボイス制度に対応するためのITツールに利用できるもので、2023年に新たに導入されました。
補助を受けられるのはクラウド型のみで、補助額の上限は350万円。補助率は2/3以内です。

〇セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠は、サイバー攻撃やインシデントに備え、セキュリティを強化するための補助です。独立行政法人情報処理推進機構の「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」内のいずれかのサービスを利用する場合に利用できます。
補助の対象となるのはサービス利用料で最大2年分。補助額は5万円~100万円で、補助率は1/2以内です。



医療法人でIT導入補助金の対象となるツール


医療法人がIT導入補助金を利用する場合には、公募要領にある「業種特化型業務プロセス」内の機能を導入することが基本です。ここからは医療法人でIT導入補助金の対象となるツールをご紹介します。

〇電子カルテ

電子カルテは、患者さんの病状などを記載したカルテをデジタル化したものです。従来の紙のカルテと違って、管理がしやすく、ミスもしにくくなることから、導入することで医療現場の生産性が向上すると期待されています。

規模の大きい病院ではすでに9割以上で導入されており、一般診療所でも5割ほどが電子カルテを採用している状態です。また、厚生労働省は、今後電子カルテを標準化して患者情報を全国で共有できるようにする姿勢を見せており、地域医療の向上に貢献するために必須のツールとも言えます。

〇医療デジタル画像管理

医療デジタル画像管理は、CTやMRIなどの画像をデジタルで管理できるシステムです。「Picture Archiving and Communication Systems」、略して「PACS」と呼ばれることもあります。

電子カルテと同じく紙での保存をしないため、保存場所が必要なくなり管理がしやすくなることがメリットです。また、院外でも画像が見られるため、訪問診療などの院外治療でも活躍するでしょう。

〇レセコン

レセコンはレセプトを作成するためのコンピュータです。すでに9割以上の診療所や病院で導入されています。

ただ、点数の計算に時間がかかることから、会計業務の効率化を考えている医院は多いでしょう。こうした課題は、電子カルテなどと連携することで解決可能であり、連携するツールの導入にも、IT補助金が利用できます。連携することで会計業務が大きく効率化するでしょう。



IT導入補助金の申請前にすべきこと


IT導入補助金は、申請する前にやっておくべきことがいくつかあります。これらは申請に必要な要件であり、事前に理解してクリアしておくことで申請もスムーズに進みます。ここからは、IT導入補助金の申請前にすべきことを解説します。

〇申請要件の確認


まずはIT導入補助金の申請要件を確認しましょう。医療法人の場合は、

・ 常時使用する従業員の数が300人以下

・ 日本国内で法人登記していて、日本国内で事業を営む法人か個人

・ 労働生産性が1年後に3%以上、3年後の9%以上伸びる、合理的な計画を作成できること

などの要件があります。その他の細かい要件は、各公募要領を参照してください。

▼申請・手続きフロー| IT導入補助金2023
https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/flow/

〇IT導入支援事業者の選定

要件を確認したら、医院のパートナーとなる「IT導入支援事業者」を選定しましょう。IT導入支援事業者とは、申請者の悩みや課題から適切なITツールを選択・導入し、申請のサポートを行ってくれる事業者のことです。IT導入補助金の事務局の審査を通過した事業者で、サイトに事前登録されています。補助金が利用できるのは、IT導入支援事業者が登録したITツールのみです。

IT導入支援事業者は、IT導入補助金の公式サイトで検索できます。

▼IT導入支援事業者・ITツール検索(コンソーシアム含む)
https://it-shien.smrj.go.jp/search/

検索では営業エリアや申請を希望する枠、業種、プロセスなどから、対応できるITツールを扱っている事業者を探せます。自院の課題を明確にし、対応できる事業者を探すことが大切です。

なお、JBCCもIT導入支援事業者として登録されています。

〇gBizIDプライムの取得

IT導入補助金は、gBizIDのアカウントを取得して行います。そのため、事前にgBizIDのアカウントを取得しましょう。gBizIDを発行すると、そのアカウントでさまざまな行政サービスにログインできるようになります。

アカウントの取得には、登録印と印鑑証明書、もしくは印鑑登録証明書が必要なので、事前に準備しておきましょう。審査に1週間ほどかかるため、早めにアカウントの申請を行うことが大切です。

▼gBizID
https://gbiz-id.go.jp/top/

〇SECURITY ACTIONの宣言

IT導入補助金の申請要件には「SECURITY ACTIONを宣言していること」という項目があります。申請の前にSECURITY ACTIONの宣言を行いましょう。

SECURITY ACTIONとは、企業がITセキュリティに積極的に取り組むことを宣言するものです。一つ星と二つ星があり、一つ星はウイルス対策ソフトの導入やパスワードの強化といった「情報セキュリティ5か条」に取り組んでいることを宣言したものです。二つ星は独立行政法人情報処理推進機構「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」で、自社のセキュリティ状況をチェックし「情報セキュリティ基本方針」を定め、外部に公開していることで宣言できます。

SECURITY ACTIONは、下記サイトから申請可能です。

▼SECURITY ACTION自己宣言者サイト:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
https://security-shien.ipa.go.jp/security/index.html

〇みらデジ経営チェック

IT導入補助金を利用するには「みらデジ経営チェック」が必須要件となっています。みらデジ経営チェックとは、質問に答えていくことで自院の経営課題が分かるツールです。

みらデジ経営チェックを利用することで、医院のデジタル化の進捗状況が分かり、それをもとに相談員にデジタル化について相談もできます。IT導入補助金を利用する際には、gBizIDとの連携、経営チェックの完了が要件です。

▼みらデジ経営チェック|みらデジ 経済産業省 中小企業庁
https://www.miradigi.go.jp/check/

〇必要書類の準備

IT導入補助金の申請前に、申請に必要な書類を準備しておきましょう。法人と個人で必要な書類は違います。

▼法人の場合

・ 履歴事項全部証明書(登録申請日から遡って、3ヶ月以内に発行されているもの)
・ 法人税の納税証明書(税務署発行の直近分)

▼個人の場合

・ 運転免許証または運転経歴証明書または住民票(登録申請日から遡って、3ヶ月以内に発行されているもの)
・ 所得税の納税証明書(税務署発行の直近分)
・ 確定申告書(令和4年度分)

なお、申請は必ず上記の書類である必要があります。代替は認められていないため、確実に用意するようにしましょう。

IT導入補助金交付までの手順


IT導入補助金は、IT導入支援事業者と協力しながら行います。ここからはIT導入補助金交付までの手順をご紹介します。

①IT導入支援事業者との相談
まずは、IT導入支援事業者と相談して、医院に必要なITツールを決定しましょう。医院側が自院の課題を明確にし、ITツールの導入で達成したい目的をIT導入支援事業者にしっかり伝えることが大切です。

②申請に必要なものを準備
導入するツールが決まったら、申請に必要なものを準備しましょう。具体的には、先述した「gBizIDプライムの取得」「SECURITY ACTIONの宣言」「みらデジ経営チェック」「必要書類の準備」を行います。

③申請
申請に必要なものが揃ったら、実際に申請を行います。IT導入支援事業者から申請マイページへの招待が届くので、申請マイページを開設しましょう。
申請マイページで交付申請を作成し、同時に必要な情報を入力します。作成した内容はIT導入支援事業者がチェックするので、不備等があれば指示の通りに修正しましょう。IT導入支援事業者のチェックが完了したら、内容を確認して事務局に申請します。申請の際はSMS認証が行われます。

④ITツールの購入と導入
申請をすると、事務局から交付決定の連絡が届きます。申請の通りにITツールを購入し導入しましょう。交付決定の連絡を受ける前にITツールを購入すると、交付の対象とならないので注意が必要です。


⑤実績報告
ITツールを導入したら、申請マイページから実績報告をします。実際にITツールを購入・契約したことが分かる書類を添付して、報告を作成しましょう。
作成した報告はIT導入支援事業者に提出して、内容を確認してもらいます。IT導入支援事業者のチェックが完了したら、事務局に提出します。

⑥交付手続
報告が完了すると、補助金額が決定します。交付手続きを行って、補助金を受取りましょう。補助金額はマイページで確認可能です。
なお、補助金額決定後も、効果報告を申請マイページから行う必要があります。



IT導入補助金を交付されるためのポイント


IT導入補助金は申請したら必ず交付されるものではありません。要件を守ることはもちろんですが、IT導入補助金では交付の要件について点数をつけており、加点項目があると交付されやすくなります。ここからはIT導入補助金交付の加点項目をいくつかご紹介します。

〇クラウド製品を選ぶ

IT導入補助金は、クラウド製品を利用すると交付されやすくなります。

IT導入補助金の加点項目には「導入するITツールとしてクラウド製品を選定していること」という文言があります。

クラウド製品とは、インターネット上で利用できるソフトのことです。電子カルテやデジタル画像管理などもクラウド製品が多くあります。クラウド製品のメリットは、どこでも画像やカルテが見られること。訪問診療や緊急時に役立ちます。

独自性の高い業務の場合には、オンプレミスでシステムを作成する方が良いこともあります。ただ、電子カルテなどの汎用性の高いツールはクラウドを利用するなど、オンプレミスとクラウド双方の良い面を利用する方法もあります。

〇インボイスに対応するためのツールを選ぶ

IT導入補助金の加点項目には「導入するITツールとしてインボイス制度対応製品を選定していること」という内容があります。

インボイス制度とは、消費税を適格に記載した請求書を発行・保存する制度で、2023年10月から開始しています。先述したようにデジタル化基盤導入類枠にはインボイス制度に対応したものがあり、会計システムなどをインボイス対応にすることで、加点の対象となります。

〇地域未来牽引企業になる

IT導入補助金を交付されやすくするためには「地域未来牽引企業」になるのも方法の1つです。IT導入補助金の加点項目には「地域未来牽引企業に選定されており、地域未来牽引企業としての「目標」を経済産業省に提出していること」という内容があります。


地域未来牽引企業とは、地域経済の担い手となる事業者のことで、経済産業省によって選定されるシステム。選定には条件がありますが、クリアして地域未来牽引企業になれば、国の支援や専門家によるサポートを受けられます。


選定は令和6年度末まで。条件を満たしているのなら、なっておくと交付に有利になるでしょう。



JBCCの電子カルテ「blanc」導入事例



先述したように、JBCCは、IT導入補助金のIT導入支援事業者です。医療法人には電子カルテ「blanc」の導入事例があります。

blancはクラウドを利用した電子カルテで、直感的に操作ができるUIと障害や災害に強いことが特徴です。タブレットなどのデバイスを通じてどこでも見られるので、訪問診療にも便利です。

JBCCがblancを提供した医療法人久居病院では、もともと「Psyche」を利用していましたが、保守満了に伴って「blanc」へ移行。他のシステムと連携することで、工数を大幅に減少させ、システムへの負担も軽減されました。

▼将来の地域医療連携でのIT活用を視野に、クラウド型 電子カルテを導入安全性を確保しつつ院内業務の生産性を向上し、患者への手厚い支援を実現 - 事例 | JBCCヘルスケア
https://healthcare.jbcc.co.jp/casestudy/hisai.html



まとめ



IT導入補助金は、電子カルテや画像管理、レセコンなど、これから効率化を考える医療法人の一助となるものです。ただ自院に適したITツールを選んだり、細かな要件をクリアして交付まで漕ぎつけたりするのは非常に困難と言えます。JBCCをはじめとしたIT導入支援事業者と、事前によく相談することが大切です。




blanc.png頼れるカルテをクラウドで。

blanc(ブラン)の製品紹介はこちら


お問い合わせはこちらから矢印