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電子カルテシステムの導入ポイント
「電子カルテの活用で失敗しない方法」とは?

2021.07.15

医療現場へのIT導入が進むなか、患者の診察経過を記録するカルテをデジタルデータ化して扱う「電子カルテシステム」が急速に普及しています。2017年時点で400床以上の病院の約8割が電子カルテシステムを利用していますが、それ以下の規模の病院では約まだ4~6割にとどまっており、これから導入を検討する医療機関も多いのが現状です。ここでは効果的に電子カルテを活用するための「電子カルテシステム導入ポイント」について考えます。

 

電子カルテシステムとは?


 電子カルテシステムは、医師や歯科医師が患者の診療内容、診断結果、処方箋といった診療情報を記録するカルテを、デジタルデータとして一括管理する仕組みのことです。従来の紙のカルテに比べてデータ保管に場所をとらず、手書きのように判読不能になることはなく、医療現場のどこからでも瞬時に検索・閲覧でき、権限設定により機密情報を保護できるといったメリットから、医療機関の間で広く普及しています。

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出典:厚生労働省「電子カルテシステム等の普及状況の推移」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000482158.pdf

 日本国内で電子カルテシステムの導入が始まったのは1999年のことです。当時、厚生省(現・厚生労働省)がカルテの電子保存を認める通達を発表。書換・消去・混同・改ざん防止と作成者の責任所在を明確にする「真正性」、法令に定める期間内(医師法・歯科医師法による保存義務は5年間)に復元可能な状態にする「保存性」、肉眼による見読が可能で直ちに書面化できる「見読性」の3つの条件を満たすガイドラインを定めたことがきっかけでした。2001年には厚生労働省がe-Japan戦略の一環として「保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン」を策定し、「2006年度までに全国の400床以上の病院および全診療所の6割以上に電子カルテシステムの普及を図ること」が目標として掲げられました。


 厚生労働省が公表した「電子カルテシステム等の普及状況の推移」によると、2017年時点の電子カルテシステムの導入率は400床以上の病院が85.4%、200~399床以上の病院が64.9%、200床未満の病院が37.0%、全病院では46.7%になっています。残念ながら2001年に掲げた目標は達成できておらず、電子カルテシステムの導入をこれから検討し始める医療機関も少なくないのが実情です。




システム導入のポイント


 電子カルテシステムが中小規模の医療機関で導入が進まなかった一番の理由は、コストの問題です。各社から数多くの製品/サービスが提供されていますが、導入コストは総じて高価であり、保守メンテナンスなどの運用コストも定期的に発生するため、導入を見送る医療機関がありました。また導入しない理由として、外部からのサイバー攻撃により個人情報漏えいやシステム破壊といったセキュリティリスク、システム障害や停電による停止、故障によるデータ消失といった信頼性リスクを挙げる医療機関もあります。


 しかし、近年の技術革新によって製品/サービスの低価格化、セキュリティ強化、信頼性向上が進み、医療機関に負担をかけず、安心して導入できるレベルに達しています。とりわけクラウドサービスの電子カルテシステムも登場したことで、導入へのハードルは一気に低くなりました。
とはいえ、それぞれの医療機関に最適な製品/サービスを導入するには、入念な選定作業が欠かせません。クラウドサービスを利用すれば初期投資やハードウェア/ソフトウェアの更改費用を抑えることはできますが、セキュリティ対策や災害対策といった万一の事態に対してはクラウドサービスごとに責任範囲が異なっています。システムが停止した際にどこまで責任を負ってくれるのかという部分に留意して製品/サービスの選定を行い、場合によっては外部と完全に遮断されたオンプレミス環境で稼働する製品という選択肢も残しながら、検討を進めることがポイントになります。
ちなみに、機能面については将来性や外部システム(医事会計システム、地域医療連携システムなど)との連携を考慮し、厚生労働省が推進する標準仕様(コード/マスターを含むデータ形式など)に準拠しているものを選びます。


 もう一つ、導入のポイントとして欠かせないのが、信頼できる納入業者(SIベンダー)を選定するということです。電子カルテシステムは医療に関しての専門知識が必要なので、メーカーから製品/サービスを調達して売るだけというSIベンダーでは困ります。導入実績を必ず確認し、導入支援や運用サポートが経験豊富なSIベンダーを選んでください。




導入に失敗しない方法


 では、電子カルテシステムの導入をどのように進めれば、導入を成功に導けるのでしょうか。JBCCが実施したアンケート調査結果によると、成否のカギを握るのは電子カルテシステム導入プロジェクトをリードする「マネジメント能力」にありそうです。


 電子カルテシステムを導入するにあたっては、カルテ管理プロセスや業務フローが大きく変わることになります。どのように運用管理していくかという方針や体制をいま一度整理して見直すとともに、製品/サービスに求める要件を定義します。このときに重要な役割を果たすのがSIベンダーです。プロジェクトにはSIベンダーをパートナーとして迎え入れ、メンバーの一員として導入を一緒に推進・支援する体制を構築します。


 プロジェクトが失敗するケースは、まさにそうしたプロジェクト推進体制の欠如にあります。例えばプロジェクトをSIベンダーに任せ切りにしたため、誤った意思決定をしてしまい、作業時間が延びてサービスインが遅れたり、追加費用が発生したりといった事例はよくあります。最悪の場合、運用開始後に問題が発覚して運用をストップせざるを得ない状況に陥ることもあります。
さらに医療機関側とSIベンダー側の責任範囲が明確でなかったため、責任の擦り合いに発展するおそれもあります。こうした失敗を避けるためにも、プロジェクトのマネジメントは必ず医療機関側がリードして進め、経験豊富で信頼できるSIベンダーをプロジェクトに招き入れることがきわめて重要です。



まとめ


 ここでは電子カルテシステムの導入ポイントと失敗しない方法を解説しましたが、医療機関にとって最も重要なのは、やはりSIベンダーの選定作業です。


 JBCCは電子カルテシステムのビジネスを20年以上にわたって展開しており、これまでに全国各地の国立病院機構、公立病院、大学病院をはじめとする特定機能病院、地域医療支援病院から無床の小規模診療所まで、およそ200カ所の医療機関に電子カルテシステムを導入してきた実績を有しています。とりわけ中小病院向けではお客さまから高い評価を頂戴しています。


 製品/サービスについても、オンプレミス版でWeb型電子カルテ稼働実績No.1の「Web電子カルテEcru」、精神科医療に最適な「Web電子カルテPsyche」、さらにWeb電子カルテEcruの機能をそのままクラウドサービスとして提供する「blanc」(ブラン)など豊富なラインアップを用意しています。また電子カルテシステムのみならず、医事会計システムを含む病院情報システムをはじめ、サーバーやセキュリティ機器などのインフラ構築・運用保守まで、ワンストップで提供できます。


 医療機関のお客さまのベストパートナーとして、電子カルテシステムのご用命の際にはJBCCへお気軽にお声がけください。






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