事務部 情報管理課 係長 𠮷澤 直人氏(写真左) |
User Profile |
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東邦大学医療センター佐倉病院 |
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所在地 | 千葉県佐倉市 |
病床数 | 405 床 |
診療科 | 内科、呼吸器内科、脳神経内科、腎臓内科、膠原病内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病・内分泌・代謝センター、血液内科、メンタルヘルスクリニック、小児科、外科、消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺外科、脳神経外科、整形外科・リウマチ科、産婦人科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、麻酔科、形成外科、病理診断科/病院病理部、救急科、リハビリテーション科 |
U R L | https://www.sakura.med.toho-u.ac.jp/ |
東邦大学医療センター佐倉病院様は、Microsoft Access で管理していた健康診断管理システムをkintoneに置き換えるだけでなく、他システムとの連携を見直すことで属人化の脱却と業務の効率化を実現しました。旧システムでは複雑な制御をしており、kintone で実現できるのか不安な思いもあった中で、どのようにアプリを作っていったのか、事務部 総務課 係長 石合 仁氏、事務部 情報管理課 係長 𠮷澤 直人氏にお話を伺いました。
導入前の課題 システムがブラックボックスでメンテナンスできない |
導入後の効果 現場主導でアプリを改善し、属人化から脱却 |
●前任者がAccess で作成したシステムをメンテナンスできない ●データを受け渡しする際に加工しなければならなかった ●約1000 人分の健診結果を個別に封入する作業に負荷がかかっていた |
●スタッフ自身でメンテナンスが可能になり、現場主導で改善 ●データ連携で加工が不要になりミスが激減 ●健診結果をメールで一斉通知、後から必要な場合でも自由に閲覧可能に |
―東邦大学医療センター佐倉病院様の特徴についてお聞かせください。
石合: 当院は千葉県佐倉市で唯一の大学病院です。地域の中核病院として24時間体制による救急医療を提供しており、地域医療支援病院に指定されています。地域の医療機関で治療中に急性期治療が必要になった場合はスムーズに受け入れ、手術や放射線治療を行い、治療を終了した患者さんは、紹介いただいた地域の医療機関へ戻っていただく。このような循環 で各病院の機能を十分に発揮できるよう地域の医療機関との連携を密にして地域医療体制を強化しております。最近では 2023 年 8 月からスタートした紹介重点医療機関にも登録されました。
また災害拠点病院として災害派遣医療チーム(DMAT)を保有しています。能登半島地震の際にも派遣され、1 週間ほど活動しました。災害支援ナースもおり、2名を派遣しました。
―今回 kintone を導入するにあたって、解決したい課題はどういったものだったのでしょうか。
石合: 私は当院に在籍する約 1000名の教職員の健康・衛生管理を担当しています。民間企業では外部の健診実施機関で健診を受診しますが、私たちは職場で受診しています。検査部門の業務が立て込んでいないタイミングを見計らって自分で受診し、採血して提出するという形です。
システム運用としては、健診が必要な教職員の名簿を作成し、検査部門に健診依頼のデータを連携します。健診が終了すると、結果が検査システムに登録されます。さらに健診結果データを検査システムから電子カルテに連携し、電子カルテでは不足している項目について Access で管理し、必要な判定を行うという流れです。
もともと Access のアプリは𠮷澤が所属する情報管理課が作成したものなのですが、担当者が異動して内部の制御を分かる人がいなくなってしまいました。アプリをメンテナンスできる人がおらず、検査項目や基準値の変動に対応できなくなってしまったのです。今後も変更が頻繁に発生することが予想され、誰が担当しても柔軟に運用できるシステムが必要でした
―Access のアプリを作り替える手段として、なぜ kintone を選ばれたのでしょうか。
𠮷澤: 当初は健康診断を管理できるパッケージを探していました。しかし世の中にあるパッケージは、外部の企業・組織から指定された医療機関や健診センターの業務のためのものなので、当院の業務にはマッチしません。何か別の解決方法はないかと展示会に行った時に、JBCCのブースに立ち寄りました。会場にいたJBCCの担当者に相談したところ、「k i n t o n e で解決できるかもしれない」という提案がありました。 Access で簡易的に作ったアプリとはいえ、非常に複雑な制御をしています。kintone でできるのか不安でしたが、JBCCと打ち合わせをして何とかなりそうな感触があり、導入することに決めました。
―Access のアプリを kintone で置き換えたのでしょうか。
𠮷澤: 単なる置き換えではなく、システム連携についても見直しをしました。今までは検査結果を電子カルテに連携し、電子カルテで管理できない部分を Access に連携して管理していました。kintone 導入によって、検査結果のデータを検査システムから直接連携することで、やり取りがスムーズになると考えました。
―プラグインは何を使っていますか。
石合: 教職員全員が対象となる機能については、ライセンスの制約もあってプラグインを使用しています。教職員にメールを送付するためにkMailer、自己申告の登録に Form Bridge 、健診内容や自己申告の内容を参照するのに kViewer を使用しています。教職員が使用しない部分では、健診結果の帳票については、レポトンを使って出力しています。また内部の処理として基準値による判定を行う際に、アプリ間のデータを集計できる krewData を使用しています。
―kintone で運用を開始して、どのような効果がありましたか。
石合: 業務の効率化という点では非常に効果がありました。大きなインパクトがあったのが健診結果の封入作業です。今までは約1000人の教職員の健診結果を印刷し、封筒に入れて渡していました。さらに再検査が必要な場合は、再検査項目ごとに帳票があり、帳票を全て揃えた上で封入しなければなりません。従来はこの作業を 4人がかりで丸1 日かけて行っており、労力がかかっていました。現在はメールの一斉送付に変更したので、封入作業が一切不要になったのは大きかったですね。教職員が他の病院に移ると、過去の健診結果が必要なため帳票を再度送付する作業も行っていたのですが、現在は教職員が自分で過去の健診結果を参照できるため、利用者の利便性も高まっています。
さらに検査部門に健診依頼のデータを渡す際にデータ加工が不要になったのも効率化につながっています。加工に手作業が必要なのはもちろん、Excel でデータを加工すると、0 から始まる教職員ID が数値扱いになって0が消えてしまい、違う教職員と認識されるなどのミスを誘発していました。
現在は加工なしでデータを渡せているため、ミスがなくなったのも大きな効果です。
―アプリに変更があった場合のメンテナンスはどうされていますか。
𠮷澤: 今は運用を担当している石合のチームでメンテナンスをしています。Access で管理していた時は、変更依頼が情報管理課に頻繁に来て対応が大変でした。現在は情報管理課の手を完全に離れており、作業負荷が減って助かっています。kintone 導入によって、現場主導で柔軟な対応や工夫ができるようになったと思います。
石合: もともとデジタル化をテーマに様々なツールを導入していたこともあるかもしれませんが、それほど取っつきにくくはないです。機能面でもどんどんバージョンアップしているので、使いにくいと思っていた部分がいつの間にか解消されていることも多いです。
―JBCCはアプリの開発を支援させていただきました。JBCCのサポートはいかがでしたか。
𠮷澤: Access で実装している制御がブラックボックスだったため、導入の際は慎重に検証しました。健診結果を正しく連携するのはもちろんですが、正常値・異常値を判定する複雑な制御は、一歩間違えれば大きな問題となってしまいます。そこでJBCCの開発チームと一緒に細かくパターンを分けて検証しました。
kintone がどうしても対応できない部分は別システムの用意や代替運用をすることも想定していましたが、最終的にすべての要件を実現することができました。ここまで高度なアプリを実現できているのは、JBCCの協力が大きかったのだと思います。
―今後に向けて取り組んでいることはありますか。
石合: 健診管理については、kintone に代わってから私一人で作業していたのですが、今後は誰でも運用できるようにアプリを改善しています。
例えばラベルを利用して入力時に注意することを書いていくようにしました。こうすると画面を見るだけでわかるので、引き継いだ人が迷うことがありません。今後も継続的に改善し、属人化しないアプリにしていきたいと思います。
𠮷澤:JBCCでワークショップを開催してもらい、DX 化できる領域を模索しています。回を追うごとに、様々な部署の教職員が参加してkintoneがどんなことに活用できるのかを議論しています。実務と並行してDXを進めるのは難しい側面もありますが、現場の業務を変えていこうとする意欲や期待が高まっているのを感じます。これからも現場と密にコミュニケーションを取りながらDX を進めていきたいので、ご支援をよろしくお願いいたします。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
JBCCは、電子カルテの提供を通じて培ったヘルスケア分野でのITスキルを元に、病院DXの実現を推進して参ります。
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