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忙しい医療現場を効率化!電子カルテ導入のメリット・デメリットとは?

2024.04.23

高齢化や人材不足など、医療の現場は多くの課題を抱えています。人材不足による業務の停滞が大きな負担となっている医療機関も多いでしょう。そのような現場を解決できる可能性を秘めているのが「電子カルテ」です。電子カルテで事務作業を効率化することで、医療機関の抱える問題を解決できる可能性があります。

本記事では、電子カルテのメリットやデメリットのほか、機能や導入のポイント、また政府が検討している「電子カルテの標準化」について解説します。



電子カルテとは?


電子カルテとは、患者の診療記録であるカルテをデータ化したものです。 検査結果や画像、紹介状、レセプトなどを一元管理できる上、ペーパーレスとなり管理や検索もしやすくなっています。中には会計システムと連動したものもあります。
なお、電子カルテの保存期間は紙のカルテと同じく「診療が完了した日から5年」です。



電子カルテの種類


電子カルテには「オンプレミス型」と「クラウド型」があります。
オンプレミス型は、自院で独自の電子カルテシステムを構築する方法です。欲しい機能を自由に設定できるため自由度が高くなっています。また、外部とネットワークが切り離されているため、セキュリティ面でも安心感があります。ただし、システム構築に膨大なコストがかかるため、小規模の診療所などには難しいのが現状です。大きな病院向けと言えるでしょう。
一方クラウド型は、ベンダーが作っているクラウドシステムを利用する方法です。オンプレミスと比較すると自由度は低いですが、すぐに利用ができ、コストも初期費用と月額利用料のみです。そのため、小規模な病院でも利用しやすくなっています。



電子カルテの普及率と標準化


厚生労働省の「電子カルテシステム等の普及状況の推移」によると、令和2年の電子カルテの普及率は、一般病院が57.2%、一般診療所が49.9%です。普及率は病院規模が大きくなるほど高くなり、400床以上の病院では91.2%となっています。
一方、200床未満の病院での導入率は48.8%に留まっています。小規模な病院では紙のカルテでも管理が十分可能なことや、コストやセキュリティなどの不安から、なかなか導入が進んでいません。
こうした状況の中で、厚生労働省は「電子カルテの標準化」に向けて動いています。電子カルテの標準化とは、電子カルテシステムに一定の規格を設け、項目などを統一することです。令和5年12月には、厚生労働省がベンダー向けに標準化に向けた説明会を実施しており、その中で「2023年度に必要な要件定義等に関する調査研究を行い、2024年度中に標準化の開発に着手する」とされています。最終的に、2030年には概ねすべての医療機関で電子カルテを導入する見通しです。 また、電子カルテの標準化は「電子カルテ情報共有サービス」の前準備でもあります。電子カルテ情報共有サービスとは、全国の医療機関で患者の電子カルテを閲覧できるサービスです。ほかにも患者がマイナンバーカードを利用して、自身の電子カルテを見ることもできます。
電子カルテ情報共有サービスは2025年の運用開始を目指しており、厚生労働省は早急な電子カルテの普及を推進しています。



電子カルテのメリット


電子カルテを導入すると、業務の効率化、医療ミスのリスク低減などさまざまなメリットがあります。ここからは電子カルテを導入するメリットをご紹介します。

【メリット1】業務効率が上がる


電子カルテを導入すると業務効率がアップします。具体的には、以下のような点で効率化が図れるでしょう。


・診療時間の短縮
電子カルテは診療時間を短縮させます。 紙のカルテの場合、カルテの検索・入力のほか、共有や会計、紹介状の作成なども手作業で行う必要があります。しかし電子カルテシステムなら、カルテの検索や共有が容易な上、定型文を使った文書作成や診療と連動した会計などで、事務作業に使う時間を大幅に短縮できます。結果、患者の待ち時間や従業員の業務負担を減らすことが可能です。


・情報共有性の向上
電子カルテの導入によって、情報の共有性が向上します。 紙のカルテでは、カルテを持っている人しか患者の情報が分かりませんが、電子カルテなら複数人で同時に患者情報にアクセスできます。また、院外からもアクセスができるようになっていれば、訪問診療などでも利用可能です。 加えて、先述した電子カルテ情報共有サービスのように、他の医療機関などとも共有できれば、地域医療やセカンドオピニオンなどでも活用できます。


・情報管理の容易性
電子カルテは情報の管理が簡単です。膨大な紙の中からカルテを探す必要がなく、すぐに患者情報を見つけられます。 またクラウド型の電子カルテを利用した場合、外部にサーバーがあるため、医療機関が災害などにあった場合でも、データ復旧を素早く行えます。

【メリット2】医療ミスのリスクを低減する


電子カルテは、医療ミスのリスクを減らせることもメリットです。
紙のカルテでは、文字の書き間違い、読み間違いによって正確な指示や情報の保管ができないことがあります。医療の現場では、こうしたミスが患者の命を脅かすことになりかねません。
電子カルテの場合、文字が判別できないことはほぼありません。処方オーダー時には病名と照らし合わせて禁忌や慎重投与薬品のチェックをする機能を持っている物も多いです。こうした機能を活用することで、医療ミスのリスクは大幅に低減するでしょう。

【メリット3】保存スペースが必要ない


電子カルテは保存スペースが必要ありません。
紙のカルテの場合、患者の数や診療の情報が増えると、その分カルテが増えて、保存場所の確保が必要です。しかし、電子カルテは保存する場所がサーバーのため、データが増えても保存場所は必要ありません。クラウド型の場合、オンプレミスで必要だったサーバーの置き場所や管理も不要です。引っ越しや災害の際も楽になります。



電子カルテのデメリット

電子カルテのデメリット

患者情報の管理に便利な電子カルテですが、いくつかのデメリットもあります。ここからは、電子カルテのデメリットをご紹介します。

【デメリット1】コストがかかる


電子カルテの導入にはコストがかかります。比較的安価なクラウド型でも初期費用と月額使用料がかかりますし、オンプレミスならさらに高額な費用が必要です。
無料で利用できる電子カルテもありますが、無料の範囲が限られていたり、機能や安全面が充実していなかったりと、不安な面も多いです。医療で扱う情報はセンシティブなため、セキュリティや機能の整ったものが理想ですが、それらが充実した電子カルテはその分コストもかかります。
まずはトライアルなどで実際に利用してみて、費用対効果を試すのが良いでしょう。

【デメリット2】ITに強い人材やスキルが必要


電子カルテを利用するには、ITに強い人材やスキルが必要になります。特にトラブルやメンテナンスについては、ITの知識がないと対応は難しいです。もし院内にそうした人材がいない場合は、外部に保守管理を頼んだり、新しく人材を雇用したりしなければなりません。電子カルテ導入当初は、操作や画面に慣れないため、業務効率が落ちる可能性もあります。
ただし、クラウド型では基本的にサーバーの保守管理やメンテナンスをベンダーが行うことになっています。そのため、それほど高いITスキルは必要ありません。

【デメリット3】セキュリティリスクがある


電子カルテは、情報の扱いに細心の注意が必要です。医療機関の情報は、患者にとって非常にセンシティブな内容です。サイバー攻撃や内部不正などで情報が漏れれば、重大な犯罪に繋がりかねません。
厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」でも「医療情報システムの安全管理において、情報セキュリティ対策は必須」とされています。ガイドラインでは、医療情報システムが高いセキュリティを維持するために「機密性(許可のある者だけがアクセスできる)」、「完全性(情報が正確・完全な形で記録される)」、「可用性(情報にアクセスする権利を持つ者が、必要なときにアクセスできる)」の3つのバランスを取りながら、リスクに対応すべきとしています。
ウィルス対策ソフトの導入やOSを常に最新の状態にする、第三者が閲覧できないようにするなどの基礎的な対策はもちろん、ログの監視やアクセス制限などを設けて内部不正にも対応する必要があります。

【デメリット4】機器故障などによる影響が大きい


電子カルテは、パソコンやタブレット、スマホなどの機器からアクセスします。そのためアクセスする機器が故障した場合、電子カルテにアクセスできない状況に陥ってしまう可能性があります。停電やシステムダウンになった際も利用できません。
普段電子カルテに頼りきっていると、こうしたトラブルが起こった際に、患者の受入れができなくなります。実際、システムダウンによって外来患者を制限したり、投薬の正確な量を指示できなかったりといったトラブルが起こった事例もあります。
ベンダーのトラブル発生時の対応を確認したり、バックアップをとったりして、万一に備えておく必要があるでしょう。



電子カルテの導入手順


電子カルテを導入するには、まず現場の状況を把握し、電子カルテを比較検討してから自院に合ったものを選ぶ必要があります。ここからは電子カルテの導入手順をご説明します。

(1)電子カルテの絞り込み

まずは利用検討をする電子カルテを絞り込みましょう。機能や利用にかかるコスト、連携、サポート体制などさまざまな点を考慮して、別メーカーのものを3社くらいに絞るのが理想です。

(2)現場の把握・要件確認

検討する電子カルテを絞り込んだら、現場の状況を把握し、要件を確認します。絞り込んだ電子カルテのベンダーに連絡をとり、打ち合わせをして要件を詰めていきましょう。現在医療機関が抱えている課題や、電子カルテの導入によって実現したいことなどを正確に伝えることが重要です。
同時にベンダーからデモ画面などを見せてもらい、電子カルテの操作性や外部システムの連携なども確認しておきましょう。

(3)電子カルテの選定

要件を整理したら、実際に利用する電子カルテを決定します。
電子カルテの選定の際は、ベンダーの対応力も判断材料にしましょう。トラブルの際に適切な対処をしてくれるかは、電子カルテの運用で非常に重要です。対応に誠意があるか、対応のスピードは適切か、確認しましょう。

(4)稼働準備

電子カルテを選定したら、導入の前準備を行います。
主に行うのは、マスタの設定と操作方法の習得です。マスタの設定の際には、設定に必要な項目をベンダーに聞いて準備しておきましょう。利用する頻度が多くなることが予想される病名や処方などは、先に整理しておくと準備が楽になります。
導入の1~2ヶ月前になったら、利用する医師やスタッフ向けに、操作方法の研修会を行います。実際に利用することで見えてくる問題点もあるでしょう。導入前にリハーサルを行い、実際に利用して課題を見つけておきましょう。リハーサルの結果で稼働予定日に稼働するか決定します。

(5)稼働

問題がなければ、実際に稼働となります。
稼働時はトラブルが発生する可能性が高いため、ベンダーが立ち会ってくれることもあります。最初はベンダーのサポートを受けつつ対応し、徐々にベンダーなしでの稼働に移行していきましょう。

(6)保守・管理

稼働後も電子カルテの保守管理を行う必要があります。不明な点やトラブル対応については、ベンダーに問い合わせて対応しましょう。



電子カルテ導入時のポイント


電子カルテを導入する際には、いくつか注意しておきたいポイントがあります。ここからは、電子カルテ導入時のポイントをご紹介します。

自院に合った電子カルテか見極める


電子カルテの導入時は自院に合った電子カルテを見極めましょう。診療科や導入の目的によって、選ぶべき電子カルテは違います。自院の規模や目的に合っているかをよく検討しましょう。
これらを検討しないまま導入すると、無駄なコストをかけることになってしまいます。そのために、事前に必要な機能の洗い出しを行ったり、さまざまな職種のスタッフに使用感を確かめてもらったりすることが大事です。

コストを考える


電子カルテ導入時にはコストも検討しましょう。初期費用だけでなく、月額使用料やメンテナンス費用などのランニングコスト、タブレットやパソコンを購入する場合には、デバイスの購入費用も考える必要があります。
コストが大きな負担となると、医療機関の経営を圧迫する可能性があります。電子カルテの導入や利用に関わるすべての費用を把握して、無理なく続けられるかを確認しましょう。

医療機関が主体となって導入を進める


電子カルテ導入は医療機関が主体となって進めることが大切です。ベンダーに任せきりになると、医療機関の課題や目的が正確に伝わらず、自院の意図しない電子カルテになる可能性があります。
打ち合わせや稼働前の準備などには積極的に参加して、自院の実現したいことをしっかり伝えましょう。

便利機能を確認する


電子カルテには、便利な機能が搭載されているものもあります。こうした機能も確認して、必要なものを選びましょう。
特に便利なのが「テンプレート入力」と「手書き・音声入力」です。テンプレート入力は、よく使う定型文や入力内容などを事前に登録しておき、必要なときにテンプレートとして使える機能です。病状や処方などを登録しておくことで、タップだけで入力できるので、カルテ作成の時間が大幅にカットできます。
手書き・音声入力は、キーボードでの入力ができない場合やキーボード入力に慣れていない人がいる場合に便利です。中には、手書きで入力した場合でも、自動でテキストデータに変換してくれるクラウドサービスもあります。



まとめ


電子カルテをうまく利用することで、医療の現場の効率化に役立ちます。的確に利用するためにも、メリットとデメリットを理解して、自院に合ったものを選びましょう。
JBCCが提供する電子カルテ「blanc」は、操作性・機能性を重視した一般病棟・精神病棟向けの電子カルテです。訪問診療や介護・看護など、さまざまなシチュエーションで利用できます。電子カルテの導入を検討されている方は、一度ご相談ください。




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