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電子カルテ導入のメリット・デメリットとは?

2019.08.02

利便性や業務効率化など大きなメリットがあることから、電子カルテの導入を検討される病院も増えています。普及の状況について平成29年は400床以上の病院で85.4%、200床以上400床未満では64.9%、200床未満では37%と電子カルテ導入の割合は年々高まりをみせています(厚生労働省「医療施設調査」より)。

しかし、どんなに高機能なシステムでもメリットもあればデメリットもあります。そこで、今回は電子カルテを導入した場合、どのようなメリットとデメリットが考えられるのかまとめました。



電子カルテのメリット


情報共有がスムーズになる

紙カルテとの大きな違いのひとつは、情報共有が容易に行えることです。ネットワークの接続環境さえあれば、院内はもとより往診時もPCやタブレットからリアルタイムで情報を共有・閲覧できるため、診療記録のすばやい伝達が可能になります。「紙カルテが不在で作業が停滞する」といった不便さを解消し、多職種との連携がスムーズになり、チーム医療を推進します。


また、電子カルテは疾病や症状ごとなど、決まったテンプレートに記録することができるため診療記録の標準化が図れます。さらに、手書き文字ならではの読みにくさがないため、情報理解の誤りを防ぐことにもつながります。カルテの記載にあたっては、誰がいつ変更したのかといった履歴を残すことが義務付けられています。あとからの書き足しやページを抜くといった改ざんができないため、紙カルテと比較すると情報の信頼性が高いと言えます。


診療業務の効率化が加速する

電子カルテの導入により、患者対応もスピードアップします。紹介状や診断書など各種書類のテンプレートも用意しているため、医師の書類作成の手間を簡略化できます。また、カルテ画面を見せながら診察することで説明の丁寧さが増し、患者さんとのコミュニケーションも円滑になります。事務作業を効率化することで、患者さんの対応に時間を割くことができます。


医師のみならず、病院業務に携わる他職種でも業務工数が削減されるので、従来よりも多くの患者さんに対応することができます。たとえば、受付業務の負担軽減です。紙カルテのように、カルテ出しに時間が掛からないので、受付や会計の事務作業を減らせます。こうした院内業務全体の効率化は、患者さんの待ち時間短縮にもつながることから、患者満足度の向上も期待できます。


デジタル化による管理の正確性が向上する

電子カルテは検索性に優れているため、過去の診療記録や検査結果、画像情報を簡単に参照できます。データベースで管理していることから、キーワードで瞬時に知りたい情報を正確に絞り込めるため検索時間を大幅に短縮する事が可能です。CR画像や検査結果などの情報も一元管理されるので、電子カルテを院内情報管理の中心に据えることができます。


また、外部にバックアップデータの保管も可能です。データを二重化できるため紛失リスクの低減、災害対策にもつながると言えます。さらに、ペーパーレスにより物理的な観点からも、カルテ棚が不要になるなど保存も容易になります。長期間・大容量保存に必要な収納スペースをなくすことができるので、管理効率もアップします。


医療の安全・質を高める

紙カルテは、ヒューマンエラーによる記載ミスが起こりやすい管理ツールです。それに対し、電子カルテは診療の計画・指示内容・実施内容・投薬情報などが分かりやすく表示されるため、医療業務を安全に運用することができます。


また、薬の処方オーダーでは、薬品選択や薬効検索などから入力できるため、転記ミスや書き間違いを回避できます。投薬についても、用法・用量の規定値が表示されるため入力ミスを防げます。その他にも、アレルギーや併用禁忌などのチェック機能など、電子ならではの高い有用性を兼ね備えていることから、安全対策のレベルを高めることができます。インシデントの管理はもとより、安全面の教育・啓蒙にも役立ちます。


さらに、電子カルテのデータを医療AIと連動させることも可能です。たとえばバイタルデータをAI連携すれば、異常値レベルに合わせて全患者のスコアが表示され、緊急レベル順にソートをかけるといったこともできるようになります。職員のスキルに依存せず、データの有効活用で重症化を予防することができるため、より患者本位の医療の実践につながります。


分院設立時や他の医療機関、行政との情報共有に有利

各部門との情報共有や連携が強化できるのは、紙カルテに比べて電子カルテが優位な理由のひとつです。たとえば、分院設立時にカルテ情報共有の手間を大幅に削減することができます。紙カルテを移動させるとなると大きな手間が掛かり、カルテの保管場所をつくるにもコストが必要になります。そうした負荷を鑑みても、病院間でカルテ情報を容易に共有できる電子カルテはベストな選択と言えます。


また、地域の医療機関、介護の人材が連携し合う地域包括ケアシステムの構築にあたっても、データベースの管理によって情報共有を簡易に実現します。さらに、他の医療機関や国、自治体とのデータ共有・活用により、質の高い医療を提供する可能性を広げることができます。



電子カルテのデメリット


初期投資やランニングコストがかかる

電子カルテのデメリットとして、まず考えられるのは導入コストです。初期費用をはじめ維持費、サーバー更新料など定期的なランニングコストが掛かるため、固定費が増大します。少なからず病院経営に影響を及ぼすため、業務効率を見える化させるなど、費用対効果の見定めが必要になります。


セキュリティリスクへの対策が必要になる

情報の閲覧がしやすいことにより、紙カルテに比べるとデータ流出など情報漏えいのリスクが若干上がります。院内のどこからでも一元管理された患者さんの情報を確認できることから、スタッフは自分の業務に関連しない情報であっても、職種をまたいで知ることが可能です。また、サイバー攻撃や不正アクセスの懸念もあります。漏えいを防止するためのセキュリティ対策は必須であると言えます。


医療者・職員に一定のPCスキルが必要になる

「アナログ管理に慣れている」「PCスキルが充分ではない」など職員のITリテラシーによって、教育や研修が必要な場合があります。もしスキルの習得が困難だったり、電子カルテの管理に拒否反応があったりすると、離職につながってしまう可能性も考えられます。また、慣れるまでは、入力を手間に感じることもあります。しかし、逆にITリテラシーが高く効率を重視する若手の採用時には、電子カルテの導入が有利に働くことも考えられます。


システム管理の人材が必要になる

本来業務とは別に、電子カルテシステムを管理する業務が発生します。システムの操作や運用にまつわる工数の増加を現状の職員でカバーできないとなると、職員を新たに採用することも念頭に置かなくてはいけません。「職員に任せる」「業者を通して常駐者に委託する」など選択肢はありますが、いずれにしても固定費は増加するため、効果の見極めが必要です。


コミュニケーション不足誘発の原因になりかねない

メリットのひとつに挙げた「情報共有がスムーズになる」と相反するようですが、システムへの依存度が高くなればなるほど、院内のコミュニケーション不足につながる可能性が高まります。あいまいな運用に終始してしまうと、口頭指示との使い分けが負担につながることも考えられます。人的コミュニケーション不足を回避するために、導入に際しては予めガイドラインの制作や全体研修が必要な場合もあります。


以上、電子カルテの導入によるメリット・デメリットです。ぜひこちらの内容を精査していただき、持続的な病院経営に寄与するベストな選択をしていただければ幸いです。

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