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忙しい医療現場を効率化!電子カルテ導入のメリット・デメリットとは?

2023.06.22

高齢化や人材不足など、医療の現場は多くの課題を抱えています。「人が減って1人の職員にかかる負担が増える」「患者さんの相手に手いっぱいで事務作業が滞ってしまう」など、業務が停滞していくことが大きな負担となっている医院も多いでしょう。

そんな現場を解決できる可能性を秘めているのが「電子カルテ」です。電子カルテの導入で事務作業を効率化することで、医院の抱える問題を解決できる可能性があります。本記事では、電子カルテのメリットやデメリットのほか、機能や導入のポイント、また政府が検討している「電子カルテの標準化」について解説します。



電子カルテとは


電子カルテとは、患者さんの診療内容などを記載したカルテをデータ化したものです。中には会計システムなどと連動して利用できるものもあり、総合して「電子カルテシステム」と呼ばれることもあります。

電子カルテは、厚生労働省の定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」にて、以下の3つを担保しなければならないとされています。

・ 真正性(内容の改ざんや消去を防止し、責任者を明らかにすること)

・ 見読性(肉眼で読むことができ、いつでも提示できること)

・ 保存性(適切なセキュリティを施し、保存期間内の保存・復元ができること)

なお、電子カルテも紙のカルテと同じく、診療が終わってから5年間は保管する義務があります。

電子カルテの種類

電子カルテには、主に「オンプレミス」と「クラウド」があります。
オンプレミスは、自社独自のサーバーとシステムを利用する方法です。外部と接続されていないため、セキュリティ面での安全度が高いことが特徴です。カスタマイズも可能で、専門性や独自性の高い医院でも対応できます。ただし、システム構築に膨大なコストがかかります。クラウドで対応できない専門性を持った医院や、規模の大きな病院に向いている方法です。

一方、クラウドはベンダーの作成したクラウドサービスを利用する方法です。すぐに利用できて、コストがそれほどかからないため、クリニックや小規模病院でも利用しやすくなっています。インターネット環境があれば、どこからでもアクセスできるのも魅力です。ただし、カスタマイズ性が低いので、場合によっては必要な機能がないこともあります。医院に必要な機能が備わっているかを事前に確認することが大切です。



電子カルテのメリット・デメリット


電子カルテはさまざまなメリットがあるため、大きな病院などではかなり普及が進んでいます。一方でデメリットもあるため、双方を理解して利用することが大切です。ここからは電子カルテのメリットとデメリットをご紹介します。

【メリット1】スムーズな情報共有ができる

電子カルテはスムーズな情報共有が可能です。
これまで医院で広く利用されてきた紙のカルテは、探す時間がかかる、1人しか閲覧できない、読み間違いなどの課題がありました。一方、電子カルテであれば、検索するだけで簡単にパソコンやタブレットから情報を閲覧できます。複数人で同じ情報を見ることも可能ですし、読み間違いなどのミスも防げます。
また電子カルテは、ガイドラインによって真正性を明らかにする必要があると定められています。電子カルテでは、誰がいつ変更したのかが分かるため、書類の信用度が高まります。
加えて、後述する「標準化」によって、今後は電子カルテを院外と共有する可能性もあります。地域医療の今後を考えても、スムーズな情報共有が簡単にできることは、電子カルテの大きなメリットです。

【メリット2】業務効率が上がる

利用することで業務効率がアップすることも、電子カルテの魅力です。特に書類作業の多い受付や会計業務の負担を大幅に減らせます。
紙カルテの場合、受付がカルテを探し、医師にそれを回し、医師が記入したものが返ってきてから算定・清算となるため、受付から清算まで非常に時間がかかっていました。しかし電子カルテなら、検索をかけるだけですぐにカルテを探し出すことができる上、医師と同時に情報を共有できます。
また会計業務と電子カルテを連携させることで、診療報酬の清算もできるようになります。医療AIと連携すれば、患者の緊急レベル順にソートをかける、薬のアレルギーや併用禁忌をチェックするといった使い方も可能です。これによって人的なミスを防ぎ、経験やスキルに関係なくデータで判断ができるようになります。

【メリット3】保存スペースが必要ない

電子カルテはデータで保管されるため、紙カルテと違って保管場所が必要なく、管理がしやすいこともメリットです。
また外部にバックアップを保存しておけるため、災害や紛失といったリスクに対応できます。加えて分院を開設する際や移転の際にも、書類を移動させる必要がありません。

【デメリット1】コストがかかる

電子カルテを導入すると、初期費用やランニングコストがかかります。
比較的費用のかからないクラウドサービスでも、月額使用料を払い続ける必要があります。無料で利用できるものもありますが、医院で扱う情報は非常にセンシティブです。セキュリティや機能は有料の方が充実していますし、安全度も高くなります。
本格導入の前に、まずはテスト的に導入して、費用対効果を確かめた方が良いでしょう。

【デメリット2】ITに強い人材やスキルが必要

電子カルテを導入した場合、システムを管理する人材が必要です。
システムにトラブルが起こった際やメンテナンスなど、ある程度ITの知見がある人材がいないと対応できないことがあります。もし院内でカバーできない場合には、外部に委託したり、新たに人材を雇用したりしなければなりません。
同時に、パソコンによる入力に慣れていない職員がいた場合、教育を行う必要もあります。例えパソコンに慣れていても、システムに慣れるまでには時間がかかるため、慣れるまでは業務効率が落ちる可能性もあります。

【デメリット3】セキュリティリスクがある

電子カルテを扱う場合には、セキュリティに注意が必要です。
カルテは患者さんの病状が書かれている、非常にセンシティブなデータです。不正アクセスやサイバー攻撃などで外部に情報が漏れれば、重大な事件となります。
ウィルスの対策ソフトやOSなどは常に最新の状態にする、タブレットやスマホなど電子カルテを見られるデバイスを紛失しない、もしくは紛失しても情報が第三者に漏れないようなシステムを講じるなど、徹底した対応や教育を行う必要があります。



電子カルテの便利な機能

電子カルテの便利な機能

デジタルに慣れていないと電子カルテは難しいと思われがちですが、実際には直感的に操作ができるものが多く、使いやすくなっています。また便利な機能が備わっており、使いこなすとかなり業務を効率化できます。ただすべての電子カルテに機能があるわけではないので、クラウドサービスを利用する際には、必要な機能があるかを確かめてから利用しましょう。

使いこなすには研修会に参加したり、操作マニュアルを作ったりして、正しく使えるようにすることが大事です。ここからは電子カルテに備わっている便利な機能を2つご紹介します。

テンプレート入力

電子カルテでは、よく使う定型文や頻繁に使う内容などを事前に登録 しておくことが可能です。そうすることで、同じような病状や毎回利用する言葉などを、タップするだけで入力できます。これによって入力時間を大幅に短縮することが可能です。
サービスによっては「Do処方入力」もあります。再来院した患者さんの対応に便利です。

手書き・音声入力

電子カルテの中には、手書き入力や音声入力に対応しているものもあります。キーボードでの入力に慣れていない人や、訪問診療などでキーボードの利用ができない場合に重宝するでしょう。
手書きで入力した場合でも、自動でテキストデータに変換してくれるクラウドサービスもあります。テキストに変換されることで、読み間違いなどを防止できます。



電子カルテの普及率と標準化


厚生労働省によると、令和2年(2020年)の電子カルテシステム等の普及率は、一般病院で57.2%、一般診療所で49.9%。病床数別にみると、200床未満は48.8%、200~399床が74.8%、400床以上が91.2%と、 病床数が多いほど普及率が高くなっています。

病床数の少ない医院での導入率が低い理由としては、患者数が少ないために特に電子化をしなくても不便に感じないことが挙げられます。その他、紙のカルテに慣れている、電子カルテを扱える人材がいない、災害時に使えないことへの懸念など、さまざまな理由で普及が進まないのが実状です。


こうした状況の中、令和4年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」では、国民がより高い医療サービスを受けるために「電子カルテ情報の標準化」が必要とされました。
電子カルテの標準化とは、現在各医院で使用している電子カルテシステムに一定の規格を設けて標準化することです。標準化によって、複数の医院でカルテの共有・連携がしやすくなります。医院同士で連携ができれば、自院だけでなく地域の医院が協力して患者さんの治療にあたることが可能です。


政府は標準化について「HL7FHIRに準拠していること」としていますが、現在提供されている電子カルテサービスの中には、これに準拠していないものもあります。2023年4月現在、具体的な情報は出ていませんが、準拠に際しては「費用面を含めた医療現場の負担の軽減を実現する」とされており、標準化に際する補助金などが提供されると期待されています。
政府は2030年度までに、電子カルテの導入率を100%にすると発表。標準化のことを考えると、未導入のままでは地域医療から省かれる可能性があります。未導入の医院も早急に電子カルテの導入を検討した 方が良いでしょう。



電子カルテ導入時のポイント


電子カルテを導入しても、業務の効率化、スムーズな共有が実現できるとは限りません。場合によっては、余計な手間がかかったり、経営の足かせとなったりすることもあります。ここからは、電子カルテの導入を成功させるためのポイントをご紹介します。

自院に合った電子カルテか見極める

電子カルテを導入する際には、自院に合った電子カルテかを見極める必要があります。電子カルテのクラウドサービスは、すべてが同じ機能を持っているわけではありませんし、規模感もサービスによって違います。また専門性によっても、導入に適した電子カルテは変わってくるでしょう。
まずは電子カルテを導入する目的を定めて、目的達成のための機能が備わっているか、自院の規模と合っているかを慎重に検討する必要があります。
事前に自院に必要な機能の要件を洗い出しておくことや、院内デモの際に各職種の多くの職員に使用感を確かめてもらうことが大切です。

コストを考える

電子カルテの導入時はコストを考えることも大切です。
電子カルテは月額使用料やオプションなど、初期費用以外にかかる費用があります。費用対効果を考え、無理なく運用していけるかを考えましょう。
また同時に、タブレットやパソコンなどのデバイスも揃えなければなりません。ITに詳しい人材がいない場合には、メンテナンスやトラブル対応にあたる人材の雇用も必要です。
電子カルテそのものだけでなく、知識習得や利用に必要なものの購入費用なども考えて、コストが見合っているかを検討しましょう。

医院が主体となって導入を進める

電子カルテは、基本的にベンダーを通じて導入することになります。しかし、ベンダーに任せきりにするのではなく、医院側が主体となって導入を進めていく必要があります。
医院側が積極的に関わらないと、ベンダーに自分たちの意図が正確に伝わりません。それによって導入が遅れたり、追加費用が発生したりすることがあります。何を目的に電子カルテを導入するのか、そのためにどんな機能が欲しいのかをしっかりベンダーに伝え、ベンダーと協力しながら電子カルテを導入することが大切です。



まとめ


電子カルテは、これからの医療現場をサポートする大切なツールです。メリット・デメリットの双方を理解し、機能やコストなど自社に合ったものを選びましょう。


JBCCでは、電子カルテシステムと共に、最適なセキュリティや業務効率化のご提案を行い、医療機関様のDXの推進に伴走いたします。

ITに関してお悩みのことがありましたら、お気軽にご相談ください。




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